【#120】学生学科合格者へインタビュー。建築学生の資格とキャリア<後編>【院生の1級建築士受験】

【#120】学生学科合格者へインタビュー。建築学生の資格とキャリア<後編>【院生の1級建築士受験】

大学院生にして一級建築士の学科試験に合格されたGnuさんへのインタビュー記事もいよいよ後編

前回【#119】の前編にはすでに反響があり、読者さんから参考になったとのコメントも頂戴しました。

インタビューも一層も盛り上がった後編で、Gnuさんは一体何を語って下さったのか…?

 

 

※ 本記事は前編の続きです。

 

 

学生学科合格者が語る、建築学生の資格とキャリア

【#120】学生学科合格者へインタビュー。建築学生の資格とキャリア<後編>【院生の1級建築士受験】

 

学生のうちに一級建築士を受験しようかな…?

そんな、受験を検討中の読者の皆さん、そして私含めすでに勉強に励む皆さんの疑問を解消するため、大学院生で学科試験へ合格されたGnu(ぬー)さんへインタビューを行いました。

前回公開した前編では、下記のような受験しようか迷っている学生向けの質問をまとめています。

 

  • 学生で受験を決めたきっかけは?
  • 院試の勉強は役に立つか?
  • 卒論と並行して勉強できたか?
  • M1で落ちたら、M2で再挑戦していたか?
  • 受験を検討中の学生がやっておくべきことは?

 

前編はこちらから

 

そして、本日はその続きとして、実際に受験を決めた後に抱くであろう疑問をもとに質問を投げかけました。 

インタビュー記事後編では、下記の6つの質問に対する答えを紹介します。

 

  • 勉強はどのように進めたか?
  • 模試の結果は?
  • 得意科目は?
  • 製図試験を次年度にした理由は?
  • 学科合格はインターン選考から役に立ったか?
  • 学科合格者として就活を行った感触は?

 

 

「なんでこの問題はバツなんだ?」一番つらかった独学2巡目

独学での一級建築士の勉強はどのように進めましたか?

 

――さて、ここまでは受験を検討するにあたってのご質問でした。次からは、実際に受験を決めた方に役立つ質問になると思います。

 

――Gnuさんは独学で学科を勉強されたとのことですが、どのように進められましたか。参考書などを中心に教えてください。

Gnu : 総合資格学院さんのテキストと問題集をやりこみました。最終的に私は5巡しましたね。

――テキストと問題集を5巡

Gnu : 1巡目はテキストをひと通り、ただ目を通すだけのような感じで読み込みます。1科目に大体1か月かかったんですが、月の半分くらいはテキスト読み、残りの半月で問題集の1周目をやりました。それを5科目やるので5か月かかって1巡目が終わりました。

――1巡目ですでに5か月。2巡目以降はかなりスムーズにできたんですか。

Gnu : それが、2巡目は1巡目と同じくらいつらかったんです。

1巡目は目を通すくらいで理解はそこまでしていませんでした。本当、大枠をつかむというイメージだったので。2巡目は本腰を入れて「なんでこの問題はバツなんだろう?」とか考えながらやりました。私の中では2巡目が一番つらかった記憶があります。

――3巡目以降は。

Gnu : 3巡目になると忘れている問題もありましたが、2巡目までと比べて飛躍的にスピードが上がりました。4、5巡目はチェックを入れていた間違えた問題だけをやったので、問題数は少なくなり早く回せるようになりました。それで結果、5巡できました。

――使用参考書はテキスト、問題集、法令集の3冊くらいですか。

Gnu : 私が使用したのはそれだけです。あとは、友人がゴロで覚える一級建築士用語みたいな参考書を買っていて。私は読まなかったんですけど、友人がその本のゴロを参考に問題の出し合いとかをしながら教えてくれたので、私も結構ゴロ合わせには助けられましたね。

 

自分たちは間違っていなかったと、模試で結果を出して気付いた

一級建築士の模試の結果はどんな感じでしたか?

 

――独学中、模試の結果はどんな感じでしたか?

Gnu : まず、私は模試を2回受けました。5月の総合資格さんの無料の模試、6月の日建学院さんの5,000円くらいの模試です。

総合資格さんの模試の結果は109/125点で、教室の母数が26人くらいいる中、私は2位でした。

――おお!

Gnu : ただ、その時1位だったのは友人でした。

――同じ大学でツートップ!

Gnu : 気持ちよかったです(笑)。

そして、6月の日建学院さんは母数が4,000人くらいいる模試でした。私は108/125点で、全体の中で50何位とかの順位だった気がします。ただ友人はもっと凄くて、10何位でしたね。

――おふたりは独学なのに、かなりの好成績。

Gnu : はい。独学の一番つらいところって、周りと比べられずに自分の現在地が分からないところだと思うんですが、模試の結果で自分たちの学習方法が間違いではなかったことに気付けました。これからも頑張ろう、って気持ちになれたところが模試を受けてよかったところですね。

――かなり自信になりましたね。

Gnu : なりました。あと、得点以外でも学べることが色々あって。

例えば、私は法規が弱点で解くのにめちゃくちゃ時間がかかっていたので、5月の模試で法令集を極力引かずに解くという、自分の中の決まりを作って臨みました。すると、模試で結構引かずに解けたんです。法令集はそこまで使わずに解けることが分かったので、それ以降は家で勉強する際も法令集を見ないようにしたりと、勉強の方向づけになりました。

あとは、お弁当とか。

模試の時、お昼ご飯はコンビニでパックのお弁当を買って持って行ったんですけど、カバンの中でお弁当が結構動いてしまって…

――(嫌な予感が)

Gnu : カバンの中が悲惨なことになりました。

ただ、これで一つ学べることがあって、それ以降の模試や試験本番はパックのお弁当を買わないようにしようと思いました。

――(ポジティブ!)

Gnu : 模試を受けると勉強以外の点でも本番を想定できるので、そういうところが良いですね。

 

計画が楽しかった一方、意外と構造の勉強は地道だった

一級建築士試験で得意な科目は何でしたか?

 

――模試で苦手な法規を克服したとのことでしたが、得意科目は何でしたか?

Gnu : 計画です。唯一、やってて楽しいと思った科目でした。

大学の設計課題でも意識していなかったことを学べて面白いと思います。実際今も製図試験に向けて勉強しているんですが、(学科試験の)計画が活きています。

あと、建築作品集(※)はめちゃくちゃ得意でした。新しい作品から過去問ベースの内容まで、友人と問題を出しあって楽しく勉強していた頃を思い出します。建築作品集は結構苦手な人もいるので、その得意意識がモチベーションにもなりましたね。

 

※ 建築作品集…建築史に出てくる作品を問う問題。

 

――Gnuさんはご専攻が構造系とのことですが、学科の構造も得意でしたか?

Gnu : 構造は専攻ですが、だから高得点がとれるとも限らないです。

実際、研究内容と一級建築士の構造で被っているのはちょっとだけ。私も最初は構造設計のルート1とか2とか、保有水平耐力計算とかを知らなかったので、他の科目と同じくテキストを理解するといった感じで地道に勉強しました。構造は実務で働いている人には有利かもしれないですが、学生にそこまでアドバンテージは無いと感じました。

  

製図より就活を頑張ることが、10、20年後プラスになると肌で感じた

一級建築士の製図試験を次年度にした理由は何ですか?

 

――Gnuさんは製図試験を学科合格の次年度(2021年)に受けられますよね。その理由は何ですか。

Gnu : 1つ、確実に言えるのは就活で後れを取ったからです。

私は学科試験まで就活がほぼノーマークで、オンライン会社説明会を少し見るくらいしかやっていませんでした。構造設計でポートフォリオが必要ということさえ知らなかったくらいです。

そんな状態だったので、(学科合格後に)ここで一級建築士の製図に本腰を入れて就活をないがしろにした場合、私の人生全体を見た時のメリットはあるのかな、と考えたんです。今は就活を頑張ったほうが10年、20年後にプラスになると肌で感じて、製図を次年度にしました。

加えて、こちらのほうが大きな理由ですが、2つ目もあります。

(2020年の)8月くらいに学科試験が終わって私の周りを見たときに、次の年(2021年)に一級建築士を受験するという学生が結構いたんです。私の時は同じ大学の受験生が3人でしたが次の年は10人くらい。

そこで、来年度学科合格して短期的に製図を仕上げるM1とかが増えると確信しました。私は彼らの前年に学科合格しているので、長期的に仕上げてそういった学生に対抗する戦略をとりました。

――Gnuさんは彼らと戦略が違うということですね。

Gnu : そうですね。私はM1の時点で製図まで合格する必要はあまりないと思います。学科さえとれば就活で有利になるし、製図はM2までに取り切れば十分メリットは享受できるかな、と経験から感じましたね。

 

学科合格はあくまで付加価値。聞かれたら言うに留めた

夏のインターンシップの選考で一級建築士試験の学科合格は有利でしたか?

 

――M1の就活生は夏季にインターンシップがあります。その選考から学科合格は有利にはたらきましたか。

Gnu : インターン選考の時、学科合格については「聞かれたら言う」ようにしていました。

8月末くらいに学科の合否の連絡は来るけど、私の時はコロナの影響で夏のインターンが秋にずれ込んでいたので、学科合格がすでに分かっていました。

でも今までの学生生活、研究を頑張ってきたわけで。やっぱりそこで評価してもらいたい、学科合格は付加的なものとして見てほしいというプライドがあって、極力隠して就活するようにしていました。

――実際、選考では聞かれましたか。

Gnu : ホットなニュースなので聞かれる確率は高いです。ただそこで学科受かりました、と言うと「学科に受かった学生」として一挙手一投足が見られる感じがして、私自身としては動きづらいなという感じがしました。

なので、本選考が始まったら履歴書とかに書こうと思っていたんですけど、インターンとかその時点では研究とかを売りにしていましたね。

――研究を頑張ってきたプライド。かっこいいです。

Gnu : いやいや(笑)、言いたいっていう気持ちはあったけど。別にインターンで評価されても意味は無いし、本選考で評価されるのがいいので。まあ、業界によって違うかもしれないですが。

 

現場で働いている方は受験経験があるからこそ、かわいがってくれる

一級建築士の学科合格者として就活した際の感触はどうでしたか?

 

――その後臨んだ、就活での感触はどうでしたか。

Gnu : 一級建築士学科合格と言うと人事の方もすごいねと言って下さるんですけど、一番興味を持ってくれたのはやっぱり実際に設計や施工をしている社員の方でした。現場で働いている人は自身の受験経験があるからこそ、継続して勉強ができる学生としてかわいがって貰えて。これは良かったなあと思うことです。

あるゼネコンで設計部の偉い部長さんに雑談っぽく学科合格を話したら、ぜひうちのインターンへ来てくれ、と個別でルートを作っていただけたりとか。学科だけでも合格しておくと、評価がだいぶんいいなと感じましたね。

――ゼネコンは施工中心で、設計は狭き門と聞きます。

Gnu : そうだね。でも設計でめちゃくちゃ良くして貰えた。もちろん今の人手不足の影響もあると思うけど、ラブコールというのかな、(学科合格によって)うちに来てくださいという声が私の目に見える形で多かったと思います。

――Gnuさんが受けられた中、どういった企業で特に感触が良かったですか。

Gnu : ゼネコンは大手、準大手、中堅の全社だね。私は就活が出遅れていた分ゼネコンは一通り全部回ったんですけど、どこでも興味を持っていただけたという感覚です。ただ、設計事務所は受けていないのでわからないですね。

結局、私はゼネコンではなく他の業界の建築職に行ったんですけど、その業界でも一目置いてもらえました。

――構造設計ではない。

Gnu : 最初は目指していたんですけど、構造設計はやめました。

私が最終的に就職を決めたのは建築を幅広く経験できる企業で、設計、土地開発、維持管理もします。本当に色々なことができる会社ですが、一級建築士免許も役に立つと思います!

――改めて、内々定おめでとうございます。そして、インタビューへのご協力ありがとうございました。製図試験も頑張ってください。

 

 

(聞き手: 寺子つた)

 

 

以上がGnuさんへのインタビューの内容でした。

文字だけでは伝わりづらいですが本当に親身に質問に答えてくださり、Gnuさんの人柄が伝わる1時間でした。匿名の相手から突然インタビューを受けるのは勇気がいることです。そんな中、私の想いに応えてくださったGnuさんへ、改めて感謝申し上げます。

 

 

Gnuさんのブログもご覧ください

 

最後にお知らせです。

インタビューにお答えいただいたGnuさん学生の一級建築士受験をテーマにしたブログを執筆されています。

 

前例の少ない学生の学科合格者の生の声は、受験生にとって何にも代えがたいコンテンツ。

インタビューにないGnuさんの新たな一面も見られると思うので、ぜひ下記のリンクから読んでみてください。

 

Gnuさんのブログはこちらから

 

 

※ もう一度前編から読む

 

次回予告

次回【#121】は、『ついに●●/125点!総合資格学院5月オープン模試の自己採点結果。』をお送りします。お楽しみに。

 

 

読んでくださるあなたの存在が、勉強ブログ励みです。

よろしければ、Twitterフォローまたはシェア、または定期購読のボタンクリックをお願いします。明日も「つたログ」でお会いしましょう。

つたログを定期購読できます。

コメント

  1. 友達 より:

    寺子つたさん

    はじめまして。Gnuと共に一級建築士の勉強をしてた “友達” です。

    この度Gnuが、寺子つた さんからインタビューを受けて記事にして頂いたと聞いて、拝読させて頂きました。

    記事を読んで、当時の辛かったこと、嬉しかったこと、を思い出すことができました。Gnuが模試の際、焼きそばパックを溢して大慌てしていた光景もフラッシュバックしました。笑
    改めて学科勉強に限らず、自身の関心事に対して、初心者であることを恐れず挑戦する姿勢を持って生きていきたいな、と感じることができました。ありがとうございました。

    これからも、寺子つた さんの記事の更新を楽しみにしております。

    学科試験も2ヶ月を切ったということで、寺子つた さんの学科合格を応援しております。こんなコロナ禍ですので、お身体に気をつけてながら、頑張ってください…!

  2. 寺子つた(Terracotta) より:

    “友達”さんへ

    はじめまして、寺子つたと申します。
    まさか、お友達ご本人からコメントを頂けるとは思わず驚いています。

    実を言うと執筆を終えた私の心に最も残っていたのは、
    一級建築士試験の話ではなく、あなたとGnuさんの素敵なご関係でした。

    Gnuさんはインタビューの途中何度も”友達”さんと切磋琢磨したエピソードを交え、
    背中を追いかけてここまで来たと言わんばかりに尊敬されていました。

    その折々の内容を記事では紹介させていただきましたが、
    “友達”さんの思い出を呼び覚ますことができたのであれば幸いです。

    私のブログは、私にとっても挑戦的な活動ですが、
    今回のように誰かの挑戦を映し出す鏡でもありたいと改めて感じました。

    最後に、私の学科試験への応援のお言葉ありがとうございます。
    あなたとご友人の未来にも、幸多からんことを。

    寺子つた

コメントを残す

*