
私は一級建築士対策で学んだことを、出来るだけ掘り下げて理解することを目指しています。
先日、施工の問題を復習していた時に文中に出てきたとある材料が気になりました。色々と調べてみると、興味深い論文へたどり着いたのです。
ナ、ナ、ナント、その材料で集合住宅の施工が効率化できるというではありませんか!
まず、簡単に自己紹介します。
私は地方の国公立大学で建築を学ぶ大学4年生。修士1年生となる来年度、2021年に一級建築士試験を受験します。詳しい自己紹介はこちらの記事(クリックで開く)から。
2月10日(水)の作業/学科まであと151日

- 13年構造・施工(55問)演習・復習
本日も構造・施工の過去問題を解いていきます(第1周目)。最新の結果はこのようになります。


それでは今日も一日、ご安全に。
CLTパネルを使えば施工を効率化できる
先日一級建築士の施工の勉強で、このような問題に出くわしました。

用語と説明で間違いの組み合わせを選ぶ、という問題です。
なにこれ!余裕!
と思われた方はおそらく英語が堪能な方でしょう。
答えは、1番。
CLTは”Cross Laminated Timber”のことですから、繊維の方向がクロスしている木質材料のはず。よって「ほぼ平行」が間違い。
CLTとは?
さてこのCLT、調べてみるとかなり画期的な材料のようでした。

CLTは1995年頃からオーストリアを中心として発展し、(中略)木材特有の断熱性と壁式構造の特性をいかして戸建て住宅の他、中層建築物の共同住宅、高齢者福祉施設の居住部分、ホテルの客室などに用いられています。
引用元
世界的に普及している上に、木質材料ならではのメリットがあるようです。
CLTパネルを用いた集合住宅
そんなCLTを用いて設計された集合住宅が、福島県いわき市にあります。

「いわきCLT復興公営住宅」です。
集合住宅と言えば一般的にはRC造が多いですが、この「いわきCLT復興公営住宅」は構造がCLTパネル工法となっており、
1つのプロジェクトにおけるCLT使用量は日本一(完成時)だったとのこと。(1)
さらに、この集合集宅の施工について書かれた論文を私は興味深く感じました。
その内容は、「CLTパネル工法を用いることで施工は効率化できる」というものです。(2)
「いわきCLT復興公営住宅」は工場で生産されたCLTパネルを組み合わせる工程を採用していますが、
大きなパネルを用いたことで施工が効率化され、工程にかかる時間を短縮できた、ということが研究でわかったのです。
また、CLTパネルの組み合わせはシンプルな作業の繰り返しであったことから、作業員が習熟できたとも述べられていました。
建築士試験の話に戻りますが、近年普及した上施工の効率化にも貢献している材料だからこそ、繊維が平行に積層していると思われたら困るということですね。
出題内容が時事と関連しているかはわかりませんが、覚えた知識がどのように役に立っているのかを調べてみると建設業の動向もうかがえて面白いです。
今回の記事も、皆さまの勉強の一助となっていれば幸いです。
次回予告
次回【#84】は、『勉強開始から3カ月。私は何をやっていたのか?』をお送りします。お楽しみに。
読んでくださるあなたの存在が、勉強やブログの励みです。
よろしければ、Twitterのフォローまたはシェア、または下の定期購読のボタンのクリックをお願いします。明日も「つたログ」でお会いしましょう。
参考文献
(1)日経XTECH 「復興公営住宅に国産スギ1万2000本分のCLT」
(2)青島啓太ほか「低層集合集宅におけるCLT導入による施工効率化に関する研究」(2019)
コメント